Picnic at Xamoschi Rock

58歳無職おじさんの大学再受験日記

ブレードランナーLIVEについて

東急百貨店渋谷本店が閉店した直後の3月5日にBunkamuraオーチャードホールで行われたこのライブ。1982年のロードショーの時には見逃していたこのカルト映画は、浪人して予備校にも行かなくなった1984年に都内にまだあった名画座で10回くらい観た、私にとってのオールタイムベスト映画である。

初公開時に大コケしたのも当然な感じもするストーリーながら、当時の予算と技術で限界に挑んだ酸性雨降りしきる2019年のロサンゼルスのSFX映像はその後の規範になった。そして一部の熱狂的なファンも出現し、ディレクターズカット・ファイナルカットなど別編集版も作られカオスな状況となった。

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昨年、新型コロナで亡くなったヴァンゲリスが音楽を手がけ、それを今回は映像に合わせて生演奏するという無茶な企画である。

感想は素晴らしいの一言であるが、唐突に終わるファイナルカット版の映像でクレジット部分に巻き気味で流れるエンドタイトルには若干の違和感を抱いた。ヴァンゲリスは当然オリジナル版を観て曲を当てたので、リドリー・スコット監督が、ストーリーがわかりづらいからとハリソン・フォード扮する主人公の説明的ナレーションを挿入し、別映画のボツテイクを流用した緑の森林の上空をラブテーマをバックに飛んで行くエンディングの途中から流れるからこそ生きるエンドタイトルだと強く感じた。私がオリジナル版の方が好きなのは、デッガード自身もレプリカントであると、ストーリーの重厚性がディックの原作を想起させるもののレプリカントの寿命設定という話の肝の辻褄が合わなくなってくるからだ。40年近く経って制作された続編「ブレードランナー2049」は、それを活かして(さらにヒロインが「レーチェル=ラケル」であった偶然を必然に変えた本当に良くできた作品であるとは思う。が、やはり「ヤマト」や「エヴァ」同様、その辺の辻褄よりも大事なことがあるのかなとも思った。